社会心理学入門のまとめ

1、ゲシュタルト心理学

  T、ゲシュタルト理論

        事象は一部だけで知覚されるのではなくその場(全体)からの影響を受けて知覚される。

(対比、同化、最大限・最小限の法則、近接・共同運命・類似・境界共通・良い形・閉鎖の要因、最大秩序の法則) 

つまり心理事象も同様に場の中で生じるものだから、一つの全体の一部として理解されなければならない。

U、ハイダーの理論

       「帰因」物事がそうなった理由。

「均衡」自己と他者、そして両者に関係性のある要因の三者の関係性がバランスのとれている状態。

 不均衡状態にあると安定を求めて関係性を変化させる。(均衡理論)

  V、アッシュの理論

「潜在的人格理論」中核となるイメージに付随するイメージを付け加える。

「同調行動」ハイダーの均衡理論によって他者(集団)との同調行動をとる。集団に対する帰属意識が強いほどその傾向が強い。


2、場の理論

  T、レヴィンの理論

「心理学的環境」環境の総体の中で人の行動を規定するもの。

「非心理学的領域」それ以外のもの。

「生活空間(ライフ・スペース)」個人と心理学的環境の総体。

特定の個人の特定の行動は、ある時点で、生活空間の中に存在する心理的事実、(行動に影響を与えるものや人の状態と条件)の総体から説明される。

 人は「内的・個人的領域」と「運動・知覚領域」からなる。

 様々な「事実」が相互交渉すると「事象」となる。

 領域や環境の境界線には浸透性の違いがあるが環境や状況、条件の変化によって変わる。

 生活空間外からの刺激(外的刺激)によって生活空間に変化が生じ、「要求」がうまれる。

 生じた要求により内的・個人的領域内に「緊張」が高まる。この緊張により心的エネルギーが発生し、行動の原動力となる。

 このときの外的刺激を「誘発性」と言い、緊張から遠ざけようとする力を「力」「ベクター」と言う。

 「代償行動」ある要求に対し、それが達成困難だと感じられるとき、類似の行動によって緊張を和らげようとする行動。

 「心的飽和」「過剰飽和」単調でいつ終わるともわからないような繰り返しの作業を行っていると、個人内部の緊張が弱まり、他の行動とりたくなること。

 「要求水準」個人が到達しようと欲する目標のむずかしさの度合い。

 レヴィンの理論は「トポロジー心理学」「ヴェクトル心理学」「ホドロジー心理学」などとも呼ばれ、心理学に対し数学的なアプローチがなされているように思える。

  U、フェスティンガーの理論

「認知的不協和(の理論)」心理的不快感とか緊張の状態であり、協和(均衡の状態)を作り出そうとする努力を生む。

  V、適合性の理論

「一貫性の原理」〔均衡・不均衡〕〔協和・不協和〕〔適合・不適合〕などの様に他者との関係において一定の秩序を保とうとすること。

「適合性理論」他者に対する自己の評価によって、自分にとっての他者同士の関係性・自分と他者の関係性を適合状態にしようと努力すること。

  W、グループ・ダイナミクス

   集団の意見はその集団の特性を強化したものになる可能性が高い。(帰属意識・同調行動)

集団のリーダーには課題専門家と社会的(維持)専門家、その両方の特性を持つもの、その両方の特性を持つが特性の弱いものの4タイプがある。


3、強化理論

  T、はじめに

「学習」様々な行動様式を身に付けていく過程。

  U、条件付け一般論

「条件反射」パブロフの犬の実験。

「行動主義」観察可能な外面的行動だけを扱う客観的な心理学。

「効果の法則」学習過程における〔報酬〕と「罰」の大きな役割。

「古典的条件付け」パブロフの犬の実験。

「道具的(効果的)条件付け」ソーンダイクのラットの実験。

「反応強度」条件付けが繰り返されると特定の反応が生じる傾向は「強化」される。

「消去」強化がないと反応の強度は減少することがある。

「弁別刺激」反応の強化が生じることが確かな事態を示すもの。強化の生じる事態とそうでない事態を弁別する。

「強化作因」ある反応が終わったとき、それに引き続いて生起して、その反応を強化する出来事。

「一時的強化作因」強化作因の中で生態の基本的欲求に関わるもの。

「二次的強化作因」強化作因の中でそれ自体が快感・不快・満足・苦痛の源泉となるもの。

「動因」1、行動を始動しこれにエネルギーを供給する生理的諸条件。2、一定の強度に達すると行動を始動する諸刺激。3、目標思考の性質を持つ行動の傾向。など

「刺激の般化」特定の刺激に条件付けられた反応が似たような刺激によって生ずること。

「反応の般化」同一の刺激によって似たような反応が起こること。

「刺激の弁別」二つの刺激の差異を見分けること。

「反応の般化」それぞれに対して別の反応をすること。

  V、ミラーとダラートの業績

「習慣」刺激と反応の「つなぎ」であり、パーソナリティの主要な構成要素。

「自然回復」消去されていた反応が状況(環境)の変化により再び起こることがある。

「文化」個人の社会的環境の子(認知)構造。個人の行動を予測するのに必要。

「社会化」一人前の大人になること。

  W、模倣と同一視の諸研究

「代理性強化」実際に自分が行った反応が強化されなくても同じことが他人の身の上に起こるのを見ればそれで習慣が形成されること。

  X、その他の諸説

「比較水準」個人が自分自身か代理人の体験を通して知っている特定の社会的事態の成果すべての平均値であり、成果にはそのときどきの誘引の強さによって差異が生じる。

「選択の比較水準」人が特定の社会関係ないにとどまるかどうかを決める基準。

 

4、精神分析学

  T、序

  U、人格力動とリビドー

「イド」生まれつきわれわれにそなわっている(生得的)心理過程の総体であって食欲、性欲、睡眠欲などの本能的衝動もイドに属する。主観的、肉的体験の総体であり、客観的、外的現実には感知しない。一次過程はもっとも複雑な心理的反応で、緊張軽減に役立つ対象(恋人・食物)の内容イメージを作り出すことによって、緊張を軽減しようとする。

「自我」イドと違い、内的なイメージと外界の実物との区別を知っている。自我は2次過程(現実的な志向過程)によって、緊張除去に必要な適切な行動を計画し実行する。それに必要な高度の精神機能はすべて自我の規制下にある。

「超自我」われわれの内部に内面化されている社会的規範や価値体系である。超自我は、快楽を斥け、完全完璧を望み、理想を求める。

「本能的衝動」生物体の内部から発して精神にまで浸透する刺激の、精神的な現れであると同時に、精神が身体と結合している結果、精神のエネルギーに課せられた要求を表示するものである。

  V、不安と防衛機制

「不安」危険の度合いが非常に大きくて、自我がこれに対処できない事態の心理状態。

「防衛機制」不安に合理的に対処できない場合に自我が不安から自らを守るために用いる様々な手段。

「抑圧」すべての防衛規制の基礎を指す。自我を過度に脅かす対象選択が反対給付によって意識の領域外に押し出されること。

「否定」外部の危険な対象の知覚や認識に対して働き、観念の除去を行う。

「反動形成」不安の原因となる不都合な衝動や情念を、意識の上で、まったく逆の衝動や情念に起きかえる過程。

「転位」欲求や情動の対象選択が、反対給付によって阻止されたとき、欲求や情動がその対象を離れて、まったく別の、抑圧をこうむる危険のない対象にむけられる過程。

「投射」特定の欲求や情動が抑圧されて、個人が自分の内部にそういう欲求や情動が存在することに気づかないだけでなく、その欲求や情動が他人の側にあると感じるようになる過程。

「ステレオタイプ」ある集団に対して確かめたわけでも科学的な調査をした結果でもない特徴や特性を与えて作り上げたイメージ。

「分離」表層や観念と情動が一致しなくなる過程。

「打ち消し・復元」禁じられた行為や情動が生じたときに、それを否定し無効になるような動作をすること。

「観念化・知性化」情動が強く抑圧されて、表象や観念だけによって衝動や欲求の処理が行われる場合を言う。

「合理化・正当化」何らかの理由をつけて本能的衝動や欲求の充足を可能にする過程。

「取り入れ」投射と正反対の規制で、対象を自己の中に取り入れること。

「同一視・同一化」自分が特定の他人と同じように考え、感じ、行為をしていると言う印象を持つこと。

「昇華」本能的衝動のエネルギーが、超自我の要請に応じてその目的と充足の形式とを変える過程。

「退行」固体が現実への適応に失敗して欲求不満を体験した場合に、発達過程の過去の段階に戻って、その段階での適応様式を用いようとすること。

  W、性心理学的発達

性心理的発達段階は、特定の身体部位の反応様式に応じて、口唇期、肛門期、男根期と呼ばれ、これら3つの前性器段階のあとに、比較的長い潜在期がつづき、それから性器期がくる。また、フロイトは性心理的発達段階における異なった対象関係と衝動充足の様式が基底となることによって、異なったタイプの性格が形成されると考えた。

  X、エディプス複合

    異性親への性的愛着と同性親への敵意

  Y、ハムレットの謎

  Z、阿闍世複合

  [、フロイトの文化論

 5、役割理論

  T、規則・役割・地位

「社会規範」人々に了解され共有される行動の規則。同じ意味で「文化」が用いられることもある。

「習俗」特定の事態において最も適切とみなされる標準化された行動。

「因襲」社会生活がスムーズに行われるように工夫されてきた決まりごと。

「道徳」習俗とは違い社会の規範体系の中核をなす。

「倫理」行動の根拠として正義や心理といったきわめて抽象的なものの場合は道徳ではなく「倫理」。

「慣習法」文化的伝統の一部(道徳)として存在しているもの以外の、新たな規則を作り、「法」として強制する立法機関が存在しない場合これらの法は、慣習法と呼ばれる。

「制定法」特別な政治的集団の働きによって人々に守らせ、違反者を捕らえ制裁を加えるための法。

「制度」特定の社会的行為に関する習俗・道徳・法がからみあってできたもの。

われわれが属している様々な範疇(カテゴリー)を「社会的身分」、社会的身分に適応される規範を「社会的役割」と言う。

「役割葛藤」1、「役割間の葛藤」同一の人物が二つ以上の身分を閉め、それぞれの身分に付随した役割が互いに両立しがたい行動を同時に要求する時に起こる。2、「役割内の葛藤」一つの役割の定義について、その役割を果たすべき人々のコンセンサスが無い場合に起こる。3、「役割期待」の食い違い。4、「パーソナリティと役割の葛藤」個人のパーソナリティの特徴が原因で、期待された役割行動がうまく取れなかったり、それに強い抵抗を覚えたりすること。

U、ミードの理論

社会的過程への個人の参加を通して自己は形成されるが、こうして形成される自己がすべて同じようなものであるとはかぎらない。むしろ、個々人は、多少とも異なった視点から社会的過程を体験し、その過程を通して形成される自己は、それぞれの独自性を保持する。したがって個人の自己はそれぞれ「独自の個性と独自の型」を持つ。「個人の自己はいずれも社会的起源を持ち、社会的構成要素を持つが、それは自己に多くの個人差とヴァリエーションがあることを否定するものではない。

V、マートンの理論

個人の自己評価行動の重要性と、それに対する集団の影響力を明らかにし、非所属集団の価値や規範が個人に大きな作用をすることがある点を指摘した。

「同調(コンフォミティ)」個人が目標と手段の両者を受容し、両者への同調行動をとること。

「新工夫(イノベーション)」個人が文化的目標は受容するが、制度化された手段を拒否して別の手段を用いる場合。

「儀式主義(リチュアリズム)」文化的目標を放棄したり、わずかな関心しか持たなくなったりした個人が、規範的手段のほうは守りつづける場合。

「後退主義(リトリーテイズム)」文化的目標とそれに到達するための合法的手段の両方を放棄し、事実上、社会から後退し脱落すること。

「反逆(リペリオン)」文化的目標と制度的手段との両者を拒否し、まったく別の目的を設定して新たな手段でこの達成をはかること。

W、日本人の自己と役割

X、パーソナリティと社会体系

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